twitter Facebook mail

“重力” と友達になること

地球上に存在するすべてのモノは、
重力の影響を受けています。

この重力がなければ、ボクら人間はもちろん、
水や空気だって宇宙空間に放り出されてしまいます。

重力があるおかげで我々は、
地表に留まっていられるのです。

反面、重力のおかげで常に地球の中心方向(便宜上、
「下」としておきましょうか)に向かって、
引っ張られている(落ちていく)ことになります。

そこへ持って、我々人間は他のほ乳類と違って、
2本足で立ち上がって生活しているんですから、
4本足の動物に比べて不安定極まりありません。

モノが安定的に立てるようになるには、
最低3つの支点が必要になるからです。

2つの支点(足の裏)だけでは、どうしても
ぐらつきやすくなってしまいます。

だから、筋肉を使って身体を支えなくてはいけないのですが。

これはいずれ「姿勢」ついて述べたいので、
そのあたりまでとっておくことにします。

そして、その足の裏という小さいスペースに
(僕の場合、26.5センチ)、すべての体重が
(僕の場合、59キロ)のしかかってくるとなると、
結構な重さってことになりますよね。

つまり、立ち上がって何かをしている時というのは、
常に約60キロの重りを動かしているのと同じ、
ということになります。


しかも、歩くときとなれば、踏み出した足が
地面に設置するととき、さらに約20%の負荷がかかると、
いわれています。これだと片足に72kgが乗っかるってこと。

走ったり、ジャンプすればなおさらです。

結構負担かけてますよね。

さらに、一般的にいわれている数値を元に
体重60kgの場合の体の各部位の重さをみていきましょう。

上半身:体重の約60%    → 約 36kg
下半身:体重の約40%    → 約 24kg

頭  :体重の約10〜13%  → 約 6kg〜 8kg
腕1本:体重の約5〜7%   → 約 3kg〜 4kg
脚部 :体重の約15〜20%  → 約 9kg〜 12kg

となります。

もちろん、諸説ありますし、この数値は
体型や骨格、筋肉量、脂肪量によっても異なるので、
あくまでも目安ということでお考えください。

で、この数値を元にしていくと、
「腕を挙げる」という動作ひとつとっても、

実は片方で3〜4kgのダンベルを挙げているようなものです。

しかも、普段脱力していても、両肩には
およそ6〜8キロの重りがぶら下がっているのと同じ
テンションがかかり続けているわけです。

首にしたって常に6kg〜 8kgの重さが、
腰部にいたっては約36kgの重さが、
常々のしかかっているということになります。

そりゃ肩こりや腰痛になりますよね。

じゃあ鍛えりゃいいのかっていうと、
そこで、すぐに「対抗・抵抗」という考えになるのは、
オールドスクール、20世紀的な考え方ですよ。

じゃあ、何するのかって言うと、
キャプテン翼の翼クンの「ボールは友達さ」(古っ)ばりに、

「重力(引力)は友達さ」という感じで、
重力を脱力にうまく利用してリラックスするんです。

何ソレ? って感じですよね。

今から説明してみましょう。

例えば、先日の代々木公園で行った青空WSから、
この「チョッパーのポーズ」

手ぬぐいを後ろで張るように持って、
そのまま前屈していきます。

三角筋前部、大胸筋、小胸筋、上腕二頭筋、
脊柱起立筋肉、ハムストリングスなどなど、
様々な部位に有効な基本ポーズのひとつです。

バイクのチョッパーっぽいでしょ。


こちらは本物のチョッパー。

映画「easy rider」より。

うーむ。やっぱりこの頃のアメリカは
本当にカッコイイと思います。

ま、さておき。

先程の「チョッパーのポーズ」を見てみると、
硬い人はなかなか腕が回りませんが、

ある程度柔らかい人だと、腕が時計でいうと
「12時」よりも「11時」側に回っているのが
わかるかと思います。

本来、「12時」を回って午前中側に腕が来て、
腕の脱力が進んでくると、

「重力」によって、腕がさらに回ろうとするのです。

もちろん、柔らかければそのまま重力に任せて
(最後には肘というか腕を回転させる必要がありますが)、
腕がくるりと1周するのですが、肘を外側に向けている以上、
腕は回ることがありません。

なかなか説明が難しいですが。
言っときますけど、絶対無理してやんないでください。
無理して何かなっても責任とりませんから。

もっと知りたい人はワークショップ来て下さいw

要するに、「腕の力を抜けば、腕の重さが重りとなって、
身体をより前に倒そうとする力が加わる」
ということです。

でも、無意識のうちに、腕がブリンって回ってしまったら恐い、
という思いが腕に力を入れてしまって脱力できない、
ということが起こりがちです。
それはそれで自分を守る為に必要なことですけどね。

そこで、ウーンと回そうとして力を込めていては逆効果です。

それではこれまでのストレッチと同じです。

そんなときに、深呼吸してゆっくり脱力なのです。

さらに、腕の力が抜けてきたら、次に「首の力」、
そして、「上半身の力」をすべて抜いてみます。

そうすると、先程計算したように、僕の場合だと、
上半身が約36kgありますから、その力を抜いていくと、
その重さがまるまる下半身にかかっていきます。

すると、その重さで、太ももの裏やふくらはぎの裏が
引っ張られて伸ばされていくのです。

わかるかなぁ、この感覚。

これは自分の感覚なので。

その「感覚」を磨くことこそ「遊体法」の神髄といいましょうか。

この力を込めているときと抜いているときの違いというのは、
赤ちゃんを例にとってみてみましょう。

例えば赤ちゃんを抱いているときでも、
赤ちゃんが起きているときというのは、
それほど重さを感じることもありません。

でも、寝てしまって無防備になった途端、
メチャクチャ重く感じるってことありますよね。

あれは、赤ちゃんも無意識のうちに、起きているときは
うまく収まろうとして身体の色んなところを使っていますから、

抱かれた腕の中で安定したポジションをキープできます。
つまり重心がまとまっているということですね。

でも、寝てしまったら、すべて「脱力して解放される」ので、
重心が定まりませんから、ずしっと重く感じてしまうのです。

この「脱力して解放される」状態を作り出すのです。

他にも、身体前面で手ぬぐいの両端を持って、
両腕を上に挙げる動きでみてみましょう

腕を挙げたら、そこから左右に身体を倒してみましょう。

その時にも、「身体を倒す」という意識だけでなく、
下側の腕(右側に倒したら右腕)の力を、
できるだけ抜いてみるんです。

すると、僕だと片腕3〜4kgですから、
それだけの重りによって逆側(左側)の脇腹が
引っ張られて伸ばされていくんです。

「身体を倒す」という意識を持っているうちは、
右腕も落ちないように無意識のうちに支えていますから、
筋肉を使っているので、腕は腕の重さではありません。

そこで、脱力することで、下の腕は最高のリラックスを
作り出しながら、重力を使って逆側も伸ばすっていう。

これが、腕のみならず、首や上半身、足、下半身と、
様々なところの重さを使いながら、それを利用して
普段は伸ばせないところの筋肉や筋を伸ばすっていう。

これはね、なかなか普通のストレッチやヨガでは
できないところなんですよ。

ま、できるんですけど、できるまでにはある程度の
柔軟性と経験が必要となるんで、硬い人は
その境地を味わうまでに大体諦めてしまいます。

でも、手ぬぐいのサポートがあれば、
その「気持ちよさ」を味わうことができるんです。


つまり、肩こりや腰痛を生み出す重力だって、
使い方ひとつで、リラックスするサポートになるんです!!

何でも使いようですよね。

これを利用すれば、同じような動きをしていても、
脱力させる(意識する)場所を変えたり、

重心を動かすことで、異なった部位に働きかけることが
できるのです。これも追々ご説明します。

「抵抗・対抗」することではなく、
「受容・包容」していくことで、
すべてのものと溶け合っていく。

すると、淀んでいたモノが流れ始めます。

あとは、その流れに乗って、フロウし続けるだけ。

その流れを完全に掴めて乗りこなせたとき、

意識だけでも、重力からも解放されて、イーグルのように高く高く舞えるようになるんじゃないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です