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身体の動き04〜体幹部


身体の動きシリーズです。

今回は身体の中心部である「体幹部」の動きについてみていきます。

画像では肩甲骨も入っていますが、肩甲骨は「上肢」編で、また首の動きは「首下顎」編でご紹介していますので必要な方はそちらをご覧下さい。

「体幹部」では「脊柱および胸部」、「肋骨」、「骨盤」を扱います。

まさに身体の幹となる中心部分です。

photo from TEAM LAB BODY

ウォーキングやランニング、ヨガやトレーニング、
各種スポーツや武術に少しでも興味を持たれたことがあれば、
意味を知っているかは別にして、この「体幹部」という言葉を
1度は耳にしたことがあると思います。

「体幹部を鍛えることが重要だ」的なフレーズですね。

この時の「体幹部」こそ、この画像の部分である、
「首」「脊柱および胸部」「肋骨」「骨盤」といった、
身体の中心をなす部分を指します。

身体の中心だけに、この体幹部のバランスが安定し、
手足に頼らず体幹の筋肉をうまく使うことは、

「身体の軸」がしっかりと安定することであり、
バランスが整うことで余計な力を抜くことも可能になります。

そのため、スポーツや武術のパフォーマンス向上にかぎらず、
日常生活を美しくラクに過ごすかの「カギ」があります。

「体幹をトレーニングする」といった場合は、
この体幹部の筋肉をトレーニングするということですが、
見た目的にわかりやすい大胸筋(胸の筋肉)や腹筋だけでなく、

外からは見えない深い位置にある「インナーマッスル」も
たくさんあるために、なかなかトレーニングしづらい部分も
たくさんあります。

そのため、各筋肉を意識できるようになるまでは、
ここで紹介する「体幹部の動き」そのものを
しなやかにすることを目的に動かすといいと思います。

先にも申しましたが、身体の動きそのものが美しく、
かつしなやかに動けているということは、
そこに必要な筋肉はついていて、適度な脱力もできているということです。

局部(特定の筋肉)にばかりこだわっていては、
大局(身体の動きそのもの)を見失ってしまいます。


いずれ、筋肉に付いても詳しくお話していこうと思います。

それに、マニアでない限り、細かい筋肉まで覚えていたら
大変でやる気も失ってしまうかもしれません。

まずは、動きそのものをしっかりと理解してみてください。

また、これが意外と重要で知られていないのですが、

体感部をしなやかに使えるようになるのは大切なんですが、
その前に、手足、それも体幹部に近い、
「肩甲骨」や「股関節」周りが柔らかくなっていないと、
体幹部がうまく使えない、ということです。


なぜなら、上半身を例にとってみてみましょう。

「上肢」編でもお伝えしましたが、肩甲骨周りというのは、
たくさんの筋肉が折り重なるように存在しています。

それらが固くなってしまっていては、呼吸をした時に、
胸だけでなく、筋肉の緊張により、肩も同時に動いてしまいます。

同様に、背骨を左右に回したときなども、
純粋に背骨と身体の中心部だけが回るのではなく、
腕や肩も同時に引っ張られて回ってしまうこともあります。

しかし、「動きの結果」だけを見てみると、身体が固くても
できてしまう動きもたくさんあります。

これはいずれ詳しくお話します。

まずは、「体幹部の柔軟性は体軸やバランス調整に必須」、
「肩甲骨や股関節が固い人は無理に鍛えない」

ということだけでも覚えておくといいかと思います。

さて、それでは動きを見て行きましょう。

●脊柱および胸部


【屈曲】

背中を丸める動きです。

[関わる筋肉]腹直筋、外腹斜筋(両側性)、内腹斜筋(両側性)


【伸展】

背中を反らせる動きです。

[関わる筋肉]脊柱起立筋群、多裂筋、回旋筋、半棘金、腰方形筋(一側性/関与する)、広背筋(腕を固定したとき)


【回旋】

背中をひねって回す動きです。

[関わる筋肉]多裂筋(反対側)、回旋筋(反対側)、外腹斜筋(一側性/反対側)、内腹斜筋(一側性/同側)


【側屈】

背骨を曲げながら上半身を倒す動きです。

[関わる筋肉]:脊柱起立筋群(同側)、外腹斜筋(一側性/同側・外側)、内腹斜筋(一側性/同側・外側)、腰方形筋(一側性/外側に)、広背筋

以上、4種類が脊柱に関わる動きです。

一見、単純のようにも見えて、できているようにも感じますが、
身体が固くて、できていない人も結構います。

いずれこれもお話ししたいのですが、一例だけ
「脊柱の屈曲」を例に上げて見てみます。

わかりやすいように服を脱いでます。失礼しますw

これが、「脊柱の屈曲」の動きです。

基本ムーブメント03「ネコのノビ」でできる動きです。

背中がしっかりと丸くなってるのがわかりますよね?

一方、こちら。

同じような深さまで前屈している形になりますが、こちらの形では背中が丸くなっていません。

この場合、「脊柱を屈曲」させているのではなく、股関節から曲がっているんです。

「前屈する」とか「床の物を拾う」という結果だけを見れば、どちらも同じなんですが、そのプロセスは全く異なります。

ここに、身体の使い方を難しくさせてしまうところが
あるんですけども、これはいずれ詳しくご説明します。

「結果オーライ」も大切なんですが、身体の使い方においては
どう使うかという「プロセス」も非常に大切なんです。

では続いて肋骨。
こちらも解りにくいので服を脱いで失礼します。

●肋骨


【挙上/胸部の拡大(吸気)】

息を吸い込んだときに肋骨が上がる動きです。

[関係する筋肉]外肋間筋、前・中・後斜角筋(双方向)、胸鎖乳突筋、大胸筋(腕が固定された場合)、小胸筋(肩甲骨が固定された場合)、前鋸筋(下肋骨、肩甲骨が固定された場合)、鎖骨下筋、腰方形筋

【下方移動/胸部の縮小(呼気)】

息を吐き出した時に肋骨が下がる動きです。

[関連する筋肉]内肋間筋

以上2種類です。

肋骨が上下するの? と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

この肋骨の上下運動は身体の動きのなかで
最もマイナーな動きのひとつだと思います。

ですが、呼吸に関係している動きですから、
実は非常に大切な動きでもあるのです。

これもいずれお話すると思います。

●骨盤


【前傾】

骨盤が前に倒れる(お尻を突き出すような)動きです。

[関係する筋肉]腸腰筋、大腿直筋、縫工筋、脊柱起立筋群


【前傾】

骨盤が後ろに倒れる(腰を突き出すような)動きです。

[関係する筋肉]大腿二等筋、半腱様筋、半膜様筋


【挙上】

片方の骨盤と同側の肋骨が近づく動きです。

[関係する筋肉]腰方形筋(一側性/片方の足を挙げた時に安定させる)

以上3種類が骨盤の動きです。

どれも数的には少なくシンプルにも見える動きですが、
最初にお話ししたように、実は動かしにくく、
見えにくい動きです。

この「体幹部」の動きが全体のバランスを決定します。

動く動かないではなく、ぜひ意識することから始めてみてください。

楽しんでどうぞ〜

参考資料:『ボディ・ナビゲーション』(医道の日本社)ほか、解剖学の書籍やウェブサイト

photo by Daiki Yamashita (Wah Qi Neh)

Special thanks to TEAM LAB BODY

※[関わる筋肉]は資料を元に記載していますが、記載漏れなどもあるかもしれません。もし、間違いを見つけられた方はご一報ください。

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