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自分の“動き”を捉えられているか。

 健康志向が高まり、多くの人がスポーツに取り組んだり、
ジムに通ったり自宅でエクササイズを楽しむ人が増えてきました。

 もちろん、身体を動かすことはいいことで、
何もしないよりはした方がいいとは思いますが、
ここで問題、というかもったいないなと思うのは、

「なぜその運動をしているのか」、
「自分のどこをどれだけ、どう動かしているのか」、
「自分のどこが使えていないのか」

ということを意識することなしに、本で見た通り、
トレーナーに言われるがままに身体を動かしているだけに
終わっている人が結構いるということです。

 例えば「重い荷物を右から左に動かす」ということで見てみれば、
身体のどこをどう使おうが、A地点からB地点まで荷物が動いていれば
結果としてはクリアしたことになります。

 ただ、ここで問題にしたいのは、結果ではなくプロセスです。

「重い荷物を右から左に動かす」という行為を見てみると、
まずは荷物を持ち上げてA地点からB地点まで移動して、
荷物を下ろすということになります。

ここで、荷物に指を浅くかけるか、深くかけるか。
持ち上げるときに後ろに引き上げるようにするのか、
前のめりになるように立つのか、
運ぶときも身体をひねって動かすのか、
身体ごと動くのか、などなど動きを分析し始めると、
かなり細かいところにも話が及んできます。

 そんなこと何も気にしなくていいよという人もいます。

もちろん、それはそれでいいんです。

結果は同じなんだから。

でも、その持ち上げ方、運び方にもっとラクで
効率的なやり方があったとしたらどうでしょう。

今までは力任せで重いものを持ち上げていて、
いつも腰痛や肩こりに悩まされていた人も、
やり方を変えることによって、もっと楽に作業ができるかもしれません。

それはどうやるかというと、例えば、
これまで使っていた力とは別の力を使うとか、
余計に使いすぎていた力を抜くなどがそうです。

 こうして、ただ重いものを持ち上げる“力”を
つけるためのトレーニングというのではでなく、
自分がなぜこの動きを磨く必要があるのかという「目的意識」と
骨格や筋肉の特徴といった肉体に関する「少しの知識」、
自分がどこをどうやって動かしているのかを理解する
「自己の客体化」という意識を持ちながらやってみることで、
同じ動きをしていても全く違った意味を持ち始めます。

例えば、同じ作業を繰り返したときでも、順番に使う筋肉を変えたり、
なるべく力に頼らず動くことができるので、疲れることも少なくなります。

 こういう「動きの質」のことを意識せずに、
ただ単に筋肉を太らせるトレーニングをしているのは、
もったいないなぁと思ったりします。

もちろん、見た目をキレイにしたいという理由で
トレーニングすることも立派な理由のひとつです。

でも、何の知識も持たずにトレーニングしてしまっては、
自分の動かしやすい「クセ」に偏ってしまい、結果として、
偏った筋肉のつき方をしてしまったり、また、
動きの中でも鍛えて強くなった筋肉ばかりに頼ってしまって、
全身を連動させる動きに支障が出てしまったりすることもあります。

それよりも、自分の「身体の使い方」を覚えるための修練(トレーニング)が重要なのです。

これは「肉体の修練」と「意識の修練」を同時に行うので、
非常に効率もいいし、自分の得意なコトや苦手なコトを
見つめ直すのにもすごくいいチャンスだと思います。

写真は「polaris」、「和火」などで、ファイヤーパフォーマーとして活躍するRYU。

スポーツや格闘技のみならず、ダンスやジャグリングといった
肉体を使って表現する人たちは、繊細な動きが要求されるため、
この「身体に体する意識」はなくてはならないものでしょう。

風のように軽やかで、水のようにしなやかな動きを目指したいですね。

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