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理想の姿勢〜重力と友達になる

【遊体法】における「脱力」の極みとは、その姿勢や動きにおいてムダな力が抜けていて、「筋力の出力がゼロ(またはゼロに近い)状態」、つまり「100の力を出すための準備が整っている状態」であり、言葉で言うと「漲っている(みなぎっている)」に近いとお伝えしました。

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では、どういう状態が「筋力の出力がゼロ(またはゼロに近い)状態」になるのでしょうか。

まずは立位(立っている状態)を例にとってみていきましょう。

私たちは骨だけで立ったり動いたりすることはできません。動く時にはもちろん、立位や座位ですら姿勢を保持するために常に筋肉を使っています。この姿勢を保つために使う筋肉のことを「姿勢保持筋」といいます。

例えば、立位における姿勢保持筋としては、「頭部伸筋群」「脊柱起立筋群」「頸部屈筋群」「腹筋群」「腸腰筋」「大臀筋」「ハムストリングス」「大腿四頭筋」「下腿三頭筋」「前脛骨筋」などが挙げられます。

また、これらは「姿勢保持筋」という呼び名のほかに「抗重力筋」とも呼ばれます。

その名の通り “重力” に “対抗・拮抗” するための筋肉です。

先程お伝えした通り、私たちは骨だけでは立っていられないので、これらの「抗重力筋」を働かせることで「立つ」という姿勢を保持できるわけです。

立っている状態であれば、単純に前後左右均等、つまり中心に収まっていれば最も筋力の出力がゼロに近くなるはずです。

それが、昔のケガや長年のクセ、思考の偏りやストレスによって前後左右が均等でなくなってきます。鏡を見てみれば、ほとんどの人が左右の肩の高さが違っていたり、前後どちらかに体重が偏っていることでしょう。

これらの姿勢の偏りの ”ほとんど” の場合が「骨の歪み」ではなく、「筋肉の過度な緊張」によってもたらされています。もちろん、一部には骨の歪みだったり筋肉が伸びてしまっていたり、筋膜の縮みやゆるみというのも原因となりますが、一般的には「筋肉の過度な緊張」が主な原因となります。

【遊体法/テラノ式手ぬぐい体操】では、この「筋肉の過度な緊張」を鍛えるのではなく、身近な道具である “手ぬぐい” を使ってゆるめて解きほぐすことで、「心地よさ」とともに本来の状態へと導くのが目的となります

それはつまり、「筋肉の過度な緊張」をゆるめてときほぐしていくことで、骨が筋力の干渉を受けずに積み木を積み上げるように前後や左右のバランスが整った位置に収まることが理想の立ち方となるでしょう。

言い換えればそれは、「重力と友だちになる」ということです。

私たちは常に「重力」の影響を受けています。何度も言うように骨それ自身では立ったり動いたりできませんから、動いたり姿勢を保持するために力を入れていないと、重力の影響を受けて私たちは地面へと崩れ落ちてしまいます。

「姿勢保持筋」が「抗重力筋」といわれる所以です。

この「抗重力筋」をなるべく使わずに、前後左右のバランスのとれた位置に「骨の積み木を積み上げるように」立てるようになれば、筋出力は限りなくゼロに近づいていくはずです。

それには「脱力」が欠かせません。

ですが、完全に力を抜いてしまうと、私たちは重力の影響を受けて骨がバラバラと崩れ去ってしまいます。そうならないギリギリのところまで「脱力する」のが “【遊体法】における理想の立位” となります。

ところが、現在のトレーニング至上主義的な考え方では、「抗重力筋を鍛えて強くすることで安定性を確保する」という方向に進みがちです。

もちろん、筋力を鍛えることで姿勢の安定性は高まるでしょう。

しかし、それは植物に例えると、筋力を鍛えることは幹を太くすることに似ていると思います。確かに、太い幹の大木はちょっとやそっとのことでは倒れたりすることはないでしょう。

しかし、支えるのに多くのエネルギーを要するし、想像以上の風や嵐、地震などがあればポキっと折れてしまうリスクもあります。

それよりも、植物でいうなら竹です。竹は木でないので一概に比べられませんがw 木でいえば柳といったところです。幹は決して太くはないけれど、しなやかでやわらかいので、台風が来ても折れるということはほとんどありません。しかも、竹は節がたくさんあるので、大きく曲がることもできます。これは人間でいえば関節がたくさんあるのと同じことだと思います。1本の太い幹が全体を支えるよりも、細かくわかれた節がやわらかくしなやかに全体を支える方が結果として強くなると思います。

だからこそ、”鍛えて強くする” のではなく “心地よく脱力する” ことで、余計な力を手放して “重力と友だちになる” 位置に骨を収めるのです。

また、これは立位や座位だけに限りません。

動いている時だって同じです。

例えば、ワークショップなどでは度々実験していますが「真上に挙げた腕をおろす」という動きをとってみてみましょう。

挙げている腕を「おろす」と考えて動くと、腕はゆっくりと下に降りてきます。

動きとしては間違ってはいませんが、ゆっくりと腕を「おろす」時は、腕を下すための筋肉を使っています(三角筋や上腕三頭筋など)。

ですが、挙げている腕を支えている「筋肉の力を抜く」だけで、腕は「重力」によって下に「おりてくる」はずです。

つまり、腕をおろすためには力を使う必要はないのです。

このように動きのなかには「重力」を上手に利用することでムダな「筋力」を使わなくても動ける動きがたくさんあります。椅子から立ち上がる時や歩く時もそうです。

立位や座位のときはもちろん、日常の暮らしの中でもなるべく「重力を上手に利用する」ことで、ムダな筋肉の出力を減らすことも可能です。

それにはまず、自分自身の身体の状態がどうなっているのか「感じる」ことが大切です。まず、力が入っているのかいないのか、どこに緊張が強く出ているのか、どう動いているのかなどが詳しく感じられなければ、「重力」を感じて力を抜くなんてできません。

そして、やっぱり「脱力」です

「重力」を味方につけるには「脱力」が欠かせません。それは何も難しいことではありません、ただ単に余計な力を「手放して」、重力を「受け入れる」だけです。

その「重力」をより細かく感じて、「重力」を姿勢保持や動きに利用できるようになることが大切です。

力を入れることではなく、力を抜いていくことで「重力と友だち=理想のバランス=ゼロポイント」へと到達していきます。

僕もまだ到達しているわけではありませんが、身体を細かく感じられるようになって、かつ「脱力」できて「重力」と友だちになった時、そのときの姿勢や動きはバランスがとれたものとなり、「ムリやムダがなく美しい姿」になっているはずです。

ぜひみなさんも手ぬぐいとともに「重力と友だち」になって美しくムダのない「理想のバランス」を手に入れましょう。

重力と友だちについてはコチラも参考にしてみてください。

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